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Channel: 『ぬけられます』 あちこち廓(くるわ)探索日誌
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愛知県 蒲郡市三谷町201502 その2

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この市松模様、危なく見落とすところでしたよ。


 三河湾を一望する山腹にあるのが三谷温泉です。1200年の歴史を誇る日本有数の古湯なのですが、世間的な認知度はいまいちかもしれません。かく言う私も下調べをするまでその存在を知りませんでしたし。前半、路地裏をウロウロしていた一画は、温泉のすぐ手前に位置しているわけです。果たして此処が三谷歓楽荘跡なのかという疑問の答えは情報が少なすぎて判りませんが、もしそうだとしたらやはり温泉の湯治客目当てということになるのかもしれません。でも、色街跡独特の空気感があまり残っていないのが妙なのです。どちらかというと花街跡といった感じなんだよなあ。

 何度も恐縮になりますが、蒲郡市HPの『蒲郡の記憶』に三谷温泉関連の動画がありますので、コチラを先にご覧になっていただいたほうが以降の話が判りやすいかと・・・温泉の背後にそびえる弘法山の山頂に立っているのが弘法大師像。高さ約30mで東洋一の大きさを誇っているそうです。弘法大師像の南側、国道23号線を越えた向かいにあるのが乃木山。嘗てこの山頂同士を結んでいたのが蒲郡三谷温泉ロープウェイです。全長400m、高低差35mほどという小さな小さな索道でした。昭和33年(1958)に開業しますが、弘法大師像への道路が整備されると利用客が一気に減少し、昭和52年(1975)には廃止となってしまいます。たった17年という短い生涯でした。問題は乃木山側の発着駅、当時はプラネタリウム館が併設されたハイカラなものだったそうですが、ロープウェイ廃止後、これが華麗なといいますか、とんでもない変身を遂げるわけ。路地裏ウロウロの後、最後に此処を訪れてみることに致します。



割烹旅館青柳さん脇の路地を行きますと、見えてくるのがサビサビトタンのノコギリ屋根。コチラ、地図にはアパートと記されているわけ。中はどうなっているのでしょうね。



この気になる一画、国道23号線と海側を走る広い通りに挟まれており、その間を何本もの細い路地が繋いでいます。それをまるであみだくじ宜しく行ったり来たり・・・一向に先に進みません。



またノコギリ屋根・・・色街に織物工場が混じっていたということなのでしょうか。



今度はスケルトンになったお宅、これにはちょっとビックリ。ジャッキアップされていますので、おそらく曳家で奥に動かしたのだと思います。手前に証拠が残っておりました。



ずいぶんと派手なお風呂ですな(笑)



お次は見事なパッチワーク、いいねコレ。



ようやく最後の路地、かなりスケジュールが押しております。急ぎましょう。



とか言いながら、紅葉柄の型板ガラスを鑑賞。コレ、好きなんですもの。



気になる一画を抜けると、三谷温泉がある山の麓に出ます。割烹旅館三長さん裏にあった廃屋。お化け屋敷みたいですが、売物件の表示が出ておりました。どなたか如何???



同じ並びにこんな門柱。地図上では奥に見えるアパートに同じ名前が記されていましたが、嘗ては旅館があったのではないでしょうか。



三谷温泉へは山一つ越えないとなりません。ヒイヒイ言いながら急坂を登っていきますと、突然視界がひらけ、三河湾が一望できました。浮かんでいる島は三河大島、左は小島です。無人島ですが、夏は海水浴場として賑わうそうです。



乃木山山頂に向かう坂道、崩壊寸前の廃墟と化した飲み屋さん。カフェー風に見えなくもありませんが、残念ながらそこまで歴史のあるものではありません。



お隣は何かの商店跡でしょうか、タバコ販売カウンターの色褪せた造花が哀しい・・・。



向かいにあるのが嘗てのプラネタリウム館、右がロープウェイの発着駅でした。現在は大秘殿なる謎の施設、単刀直入に申せば秘宝館の一種で宜しいかと。どうです、華麗すぎる変身でしょ?



ブハッ、なんと閉館のお知らせなる貼り紙が・・・後で調べてみましたら、去年の9月に閉館していたそうです。ま~たやっちゃった・・・。



まあ、作り物の○○や××とか見てもしょうがねえだろ・・・と負け惜しみ言っておきますわ。面白いのが前書きにある『蒲郡の記憶』の動画です。はっきりと大秘殿が写っているのに、一言も触れていないわけ。お役所のサイトですものね、さすがに難しいか(笑)



大秘殿の向かいには乃木将軍像。ご存知、旅順攻略の乃木希典であります。この像は彼が名古屋の歩兵第五旅団長だった明治24年(1891)、伊勢神宮参拝の際に弘法山を訪れたのを記念して、大正9年(1920)に建立されたものになります。



歴史ある三谷温泉、ご覧のとおり鄙びているというよりは寂れているというほうが正しいかも。まあ、それがいいという私のような人間もいますけど・・・。



巨大旅館の廃墟なんてものも点在しているようですし、その手のマニアには堪らん場所かもしれません。



結局何のためにヒイヒイ言いながら山登りしたのか・・・自分のもってなさに呆れながら再び戻って参りました、気になる一画。こんな海鼠壁の蔵もありますよ。平瓦を千鳥に貼っています。結構珍しいのではないでしょうか。



割烹旅館青柳さん近くで見つけたのが、冒頭画像の腰に市松模様のモザイクタイルが貼られたお宅。危なく通り過ぎるところでした。



同じお宅の国道側に面した手摺の透かし彫りが興味深い。上は蝙蝠でしょうか、これは縁起物ですから判る。下の狸にススキ?、まあ狸も縁起物ですからいいのですが、妙に動きがアニメチックといいますか、コミカルに見えるのです。



国道に面した和菓子屋さん、嘗て此処には芸妓の見番があったそうです。見番ということはやはり花街だったのでしょうか。まあ、とにかく温泉街手前に謎の一画があったということだけはお判りいただけたかと。



いかん、かなり予定より遅れている、帰りは裏通りをショートカットしていきます。途中、惚れ惚れするようなサビサビトタンの長屋に出会いました。



コチラはおそらく織物工場の事務所部分かと。裏手にはノコギリ屋根が顔を覗かせておりました。回り込む出窓がモダンですな。とはいえ、ゆっくり観察していられないのが残念。

結局、気になる一画は歓楽荘だったのか・・・相変わらずはっきりしないレポで申し訳ない。まあ、本人はそれなりに楽しんでおりますのでよしとさせてください。次回は再び蒲郡に戻って西隣の港町を訪れます。なんと、この町に存在した遊里の名前も歓楽荘っていうのです。かなり厳しいスケジュールですが、時間の許すかぎり彷徨いたいと思います。

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