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Channel: 『ぬけられます』 あちこち廓(くるわ)探索日誌
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静岡県 富士宮市201301その2

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赤と黄・・・ファインダーを覗いていたら目がチカチカしてきた。


 遊廓ばかりが気になっておりましたが、慌てて富士宮の花柳界のことを調べてみましたら出てくる出てくる・・・今更言うことではありませんが、インターネットって素晴しい(笑)それら情報をまとめてみますと、大正から昭和にかけて富士宮では100名超の芸者さんが活躍されていたそうです。その中心となっていたのが、その1で紹介した長屋門の料亭高しま家さんだったというのは嬉しい偶然でした。やはりあの界隈だったようです。事実、往時は検番も存在していたそうで、それの名残が例の『五業協同組合』なのかもしれません。でも、残りの二つは依然として謎のままなんですけどね。で、その由緒正しき富士宮芸者ですが、なんと今も現役の方おられるとのこと・・・その数4名と寂しいものですし、おそらくベテランの姐さんばかりだと思いますが、伝統を絶やしてなるものか頑張っておられるそうです。

 料亭高しま家さんが存在していた一画の西隣には、これから訪れる富士宮本宮浅間大社があるのですが、全国の1,300余りもの浅間神社の総本宮なんだそうです。更に富士山山頂には奥宮があるのですが、八合目より上は全てこの神社の境内という扱いらしいですぞ。それだけ昔から富士山が信仰されてきた証でもあるのでしょう。富士山登山の代表的ルートである富士宮ルートは相模湾を背にして登るため人気があるそうですが、登り口は五合目(標高2,390m)・・・ほとんどの登山客は富士宮市内を素通りしてしまうのでしょう。以前でしたら、登山前に浅間大社で無事を祈り、帰りに芸者さんとどんちゃん騒ぎで精進落し・・・それでも足りない人は遊廓へどうぞ、みたいな感じだったのでは・・・。時代は変わり、今や健脚ならば日帰りも可能ですものね。登山スタイルの変化とともに町も遊里も衰退してしまったのでしょう。嘗ての富士宮は、まさにフジヤマ!ゲイシャ!の町だったというわけ・・・ちょっと力技なまとめ方だったかな(笑)



それでは初詣に行きましょう。浅間大社の手前にこんな塔と下見板張りの工場みたいな建物が・・・地図を見ますと、ニッピゼラチン城山揚水場とあります。ニッピはゼラチン製造国内トップシェアを誇る会社、ゼラチン製造には良質な水を必要とします。富士山麓にひろがる富士宮は、豊かな伏流水に恵まれた町。その湧水を此処で汲み上げているのだと思います。工場みたいのはポンプ室ですね。



建物の外にはみ出した配管とバルブが滅茶苦茶カッコイイんですけど・・・。



浅間大社脇の県道180号線を北へ少し行ったところにあるわく玉旅館さん。もしかしたらと思ったのですが、違ったみたい。現役です。



わく玉旅館さんの向かい、砂利道を挟んで建つのがテーラーゴトーさん。いいですねえ、技術の店。地方都市を訪れると気になるのがこのテーラーともう一つ・・・文化服装学院(笑)



富士山本宮浅間大社境内にある湧玉池、湧水を源とする澄み切った水が満々と湛えられておりました。



向かいのお宅?に住みたい・・・特に手前の茶室っぽい部屋、最高のロケーションでしょ、コレ。



オシドリって生涯添い遂げるというのはウソなんですって、そう書こうと思ったら・・・コレ、鴨じゃん(爆)



湧玉池の奥にある朱塗りの社が水屋神社。此処が湧水の源、敬虔な富士道信者はこの富士山御霊水で身を清めてから富士山に登るのを習わしとしていたそうです。



これが浅間大社拝殿、人出は思っていたほどではありませんでした。元旦に故郷の神社に行っているのですが、初詣って何ヶ所訪れても大丈夫なのでしょうか。



初詣を終え、食事にしようとお店を物色しているときにコレを見つけました。料亭ひさごさん、この向こうにその1で紹介した長屋門こと料亭高しま家さん跡と割烹壽さんがあるのです。



はい、はっきりと富士宮五業組合とありますね。隣は料理店の鑑札、富士山の絵が静岡県らしいですね。



全景はこんな感じ、あっさりとした造りです。風情はありませんな。建て替えたのではないでしょうか。



奥に鳥居が見えますが、この通り、以前は参道の一部だったと思われます。居並ぶ看板建築、参拝客目当ての商店だったのではないでしょうか。しかし、今はもう・・・。



そのうちの一軒、錆びたレンガ柄の板金と純粋なトタン、そしてトタン製サイディング。何でしょうこの奇妙な三層皮膜・・・。



通りの裏手にお宮横丁なるものがあります。観光客向けの小さなお店が集まった所謂屋台村みたいなものと思っていただけたら宜しいかと・・・出口が細い路地に面しているのですが・・・



そこにこんな見事な三階建て。しかし、用途がいまいち判断しずらい。



冒頭画像の赤い屋根の建物です。手前のいい感じにレトロな橋の欄干は浅間大社の湧玉池を水源とする神田川を跨いでいます。



これが全景、かなりの豪邸ではないかと・・・奥から顔を覗かせているのが三階建ての部分。元旅籠のようにも見えるのですが、如何でしょう。



問題は神田川沿いに建つコレ、何となくですが料亭関係に見えるのですが・・・妙な造りだなと思いながら見つめておりますと、あることに気付きました。



オオッ、なんと建物の真下を水路が貫通!?これぞ日本の落水荘じゃありませんか!!そう、フランク・ロイド・ライト先生の代表作の一つであるカウフマン邸がこんなところに・・・物凄いこじつけですけど(笑)所謂トマソンの高所ドアもあるし・・・たぶん増改築の結果なんだと思います。まあ、どう見ても落水荘とは似ても似つかぬものなんですけど、勢いで冒頭のサブタイトル書いちゃったものですから、無理矢理盛り上げようと本人も必死なわけ・・・驚いたフリしてくださいませ。



昼食は予め目をつけていた喫茶らんぶるさんへ・・・ちょっとカフェーっぽい雰囲気の感じられるファサードです。サイケなタイルが堪りませんなあ。



薄暗いというよりも明らかに照度が足りていない店内(笑)見事なまでに昭和で時が止まっておりました。いただくのはもちろんB級グルメの雄、富士宮やきそば。あ、あれ?・・・正直に申して、そこまで騒がれるものなの???というのが第一印象。確かに美味しいですけど、いたって普通なんですけど・・・。



そんなことよりこのレトロな店内のデザインは必見かも・・・あまりにも暗すぎて、やきそば自体の撮影は失敗しておりましたが(笑)あ、富士宮やきそばの由来の一つとして、太平洋戦争で仕事を無くした芸者さんが始めたという説があるそうですよ。たぶん間違いだと思いますけど。



燃料を補給しましたので、いい感じに鄙びた路地を辿りながら西富士宮駅を目指すことに致しましょう。



シャツの彫刻が面白いですね。



西富士宮駅のちょっと先でこれを見つけました。惜しい!!これで屋根が架かっていたら横丁建築に認定していたのに(笑)



建物が奥で曲がっていて、遠近感が強調されているのはポイント高いのですが、いかんせん屋根がねえ・・・勿体無い。新しい建物でしたのであれですが、近くには旅館が二軒あったりして、この界隈ちょっと気になりました。



これはこれはご丁寧に・・・こちらこそ写真だけで申し訳ないです。

以上で富士宮の探索はオシマイ。花柳界の存在は確認できましたが、肝心の遊廓がね・・・でも、初っ端の探索としては結構楽しめました。次回は旧東海道の宿場町由比です。遊里とはほとんど関係ありませんが、これはこれで面白かったですよ。

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