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Channel: 『ぬけられます』 あちこち廓(くるわ)探索日誌
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静岡県 静岡市清水区由比201301その1

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旧東海道16番目の宿場・木製水門とプチ王の小道・珍しいお魚の懸魚

この高度感がお伝えできないのが悔しい・・・。


 由比は東海道五十三次のお江戸日本橋から数えて16番目の宿場、中世の頃に形成されたそうです。天保14年(1843)時点で本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠32軒という記録が残っています。どちらかというと小規模な宿場だったようです。そのため宿場ごとに義務付けられていた100疋の伝馬と100人の伝馬人足の負担がかなり厳しく、何度も軽減してほしいと幕府に陳情していたという実態があるそうです。

 明治維新後、参勤交代の必要が無くなると宿場町から漁業と農業の町に変わっていくことになります。海まで突き出した山肌を利用したみかん栽培が盛んなようですが、なんといっても此処の名物はサクラエビ、かき揚げとか堪りませんよね〜。しかし、悲しいかな今はシーズンオフ、新鮮なのを食べたければ春まで待たないとならないようです。4年前に一つ手前の蒲原宿を歩いているのですが、そのときの終点蒲原駅から歩き出しました。



蒲原駅前を横切っている県道396号線が嘗ての東海道、これを西へ進みます。此処の飛び出し坊やは女の子・・・で間違っていませんよね?



県道沿いには古い町屋がポツリポツリと残っておりました。そのうちの一軒の戸袋、板金の打ち出し装飾が微笑ましい出来。なんの鳥だかよくわからない(笑)



東名高速の高架を潜った先のY字路を左へ、早くも陽が傾いてきた。富士宮でノンビリしすぎましたね、急ぎましょう。右の煙突は・・・



神沢酒造場さんのもの。大正元年(1912)創業の老舗です。



その先で通りが鉤形に曲がっています。此処が由比宿の入口、当時は木戸があったそうです。そこに面している古い商家、志田家住宅です。いつごろ建てられたのかは不明ですが、中に入ると帳場や箱階段などが残っているそうです。



これは蔵でしょうか、古いものではないようですが、ずいぶんと立派な造りです。



本陣跡の向かいの商家は、400年も続く染物屋の正雪紺屋。慶安の変で自刃した由井正雪の生家とされています。



本陣跡に当時の建物は残っておらず由比本陣公園として整備されています。東海道広重美術館なんてものもあるのですが、正月ということで門が閉められており入れませんでした。



本陣公園沿いの水路、当時の馬の水飲み場を再現したものです。こういうものがある本陣って珍しいそうです。そこに亀2匹、所謂直列二亀頭というやつですな(笑)あれ?亀って冬眠しなかったっけ!?



正雪紺屋の隣に方形屋根に下見板張りの可愛らしいお宅があります。嘗ては郵便局だったそうです。明治39年(1906)に建てられました。板塀で美しいアーチ窓が隠れてしまっているのがちょっと残念。



その先に東海道由比宿おもしろ宿場館なる観光施設があります。サクラエビもいただけるようですが、旬じゃないので今回はスルー。その店先にアホ面を晒した二体の人形が・・・間違いなくあの名コンビですね。



こんな近代建築も残っています。旧庚子銀行本店、大正14年(1925)に建てられた国の登録文化財。現在も清水銀行由比支店出張所として現役です。列柱の雷文みたいなオーダーが面白いなあ。



以前訪れたお隣の蒲原宿は、街道筋から分岐する魅力的な路地が結構あったのですが、由比宿はいまいち・・・オッ!?と思って入ってみると、お宅一軒分しかなくてすぐに向こうの通りに出ちゃったりして・・・うまいこといきません。



由比川を渡ってさらに旧街道を西へ・・・しばらく進むと、この豪壮な商家が見えてきます。稲葉家住宅です。出桁にぶっとい垂木が二段、所謂せがい造りというやつです。見事なものですよ。



妻側にはこんな彫り物が・・・下り懸魚というものです。装飾の意味もあるのでしょうが、本来の役目は桁の木口の腐食を防ぐためみたいです。先日、同じものを千葉県茂原市で見かけました。あちらは龍でしたが、こちらは鶴です。銅製の樋もいいですね。



遠くの煙突に『いなばライトツナ』の文字・・・工場みたいです。此処ではなくタイの工場で製造しているようですが、いなばとくれば今話題のツナとタイカレーとチキンとタイカレー。先日、試しに購入してみたのですが、嵌りました(笑)辛いのは苦手なのですが、これはオススメ。100円の味じゃないです。ツマミとしてそのままでもいいのですが、私はパスタに混ぜています。騙されたと思って一度お試しあれ。



辛うじてですが、宿場の面影が感じられるでしょうか。



正月だというのに法被姿の人がちらほら・・・何だろうと思っていましたら・・・



提灯がズラリ・・・何だコレ???



提灯の下を潜って進むと豊積神社。とりあえず初詣を済ませて、辺りで忙しそうに何かの準備をしているお爺ちゃんに、これから何が始まるんです?と聞いてみますと、お太鼓祭りなるお祭りが始まるのだとか。このお太鼓祭り、起源は平安時代まで遡るそうで、簡単に申せば元日から1月3日まで、大太鼓を下げた若衆たちが町内を練り歩くというものみたい。県の無形文化財に指定されているそうです。正月早々大変ですね、という私の言葉に、あんたも正月早々こんなところにね、と返されてしまった・・・アハハ、全く仰るとおりです。夜からが本番みたい・・・そこまではいられないので、ここいらで。



旧街道ばかり辿るのも何なので脇道に入ってみたのですが、大した収穫もなく並行している県道396号線に出てしまった・・・。旧街道に戻る道を探していると、このお宅に出会いました。完全に水路にはみ出ちゃってる(笑)



近くの屋根付き駐車場・・・この空虚な感じが堪りませんな。



その先に冒頭画像の場所が現われます。脇を流れていた水路の前方を見ますと、こんな古びた水門が・・・しかも木製!?長いこと作動していない様子です。問題は脇を下っていく小道・・・。



コレ、幅員の半分ぐらいが水路の上に跳ね出しているのです。水路まで2、3mほどの高さですが、手摺が無い急な下り坂のせいでしょうか、物凄く恐い・・・足がすくみそう。まず思いついたのが、スペインに存在する『王の小道』・・・検索するとyoutubeなどでとんでもない動画がご覧になれると思います。ヒイイ・・・とか言いながら、なぜか何度も見てしまう・・・どうしてでしょうね。大袈裟と思われるかもしれませんが、高所恐怖症ってそういうものなのです。



この橋がまたいい、斜めというのがポイント高いわけ。



振り返るとこんな感じ、やっぱり恐い・・・変色したコンクリートと苔がもっと恐い・・・。あ、黒部峡谷下ノ廊下にも見えてきた・・・まあ、どちらも大金を積まれて踏破しろと言われても絶対無理ですけどね。



おそるおそる摺り足で橋を渡ると、トタンと下見板張りの変な小屋がお出迎え。左の崖からは巨岩が今にも転がり落ちそうに突き出しているし・・・どうなってんだ此処・・・。



ふう・・・ようやく難所を潜り抜けることができました。正月早々、何をやってるんでしょうね・・・。

なんとか旧東海道に戻ることができそう・・・ということで、その1はここまで。その2でも引き続き宿場の面影を求めて街道を行きます。夕陽と追いかけっこですが・・・ほんと、急がないと陽が暮れそう・・・。

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