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Channel: 『ぬけられます』 あちこち廓(くるわ)探索日誌
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山形県 鶴岡市201308その1

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レトロなソシアルビルの前身は・昭和になって移転した遊廓・美しき白亜の教会

中ほどに変な空中ドアがありますよね。コレ、たぶん嘗ての搬入口だと思います。


 庄内平野のほぼ中央に位置し、東に出羽三山、北に鳥海山を望む鶴岡市。鎌倉時代に大宝寺城が築かれたのが町の始まりのようです。大宝寺城というのは後の鶴岡城のことです。当時は小さな豪族が覇権を争う動乱の地だったようですが、それを平定したのがかの上杉景勝。同時にお城の改修を行ないますが、それを指揮したのが愛と義の人、直江兼続です。兼続は築城の名手でもあったようですね。江戸時代になりますと最上義光が治める山形藩の領地となりますが、後に最上家はお家騒動で改易の憂き目に・・・。山形藩も分割されてしまいます。鶴岡は庄内藩十四万石の城下町として再出発するのですが、新たな藩主として入城したのが徳川四天王の一人である酒井忠次の孫、忠勝。以降、約250年にわたって酒井家が鶴岡を治めていくことになります。しかし、その後に起きた戊辰戦争で庄内藩は幕府側につきましたので鶴岡城は廃城になってしまうわけです。

 鶴岡の遊里につきましてはその2でお話するとして、2006年に東北を旅した際もこの鶴岡を訪れる予定でした。しかし、お隣の酒田で雷様の逆鱗に触れてしまい移動できませんでした。そういえば行きも大変だったなあ・・・余目から酒田に向かう途中、豪雨で列車がストップ、酒田に到着したのが深夜だったし。そして今回・・・小雨ぱらつく新庄を発車した奥の細道最上川ラインこと陸羽西線、最上川の流れに沿うようにして走るなかなか風光明媚な路線です。定刻に余目に到着、ここで羽越本線に乗り換えるのですが、なんと前日の豪雨の影響で運休・・・次の列車は一時間半後・・・まさに歴史は繰り返すですな。この地域との相性は最悪みたい・・・まあ、急ぐ旅ではありませんから、ゆっくりと食事でもしていきましょう。



驚いたことに駅前には食堂が二軒も(笑)私と同じく列車に乗れなかった人たちが後から続々と押し寄せて小さなお店はあっというまに満員御礼。此処の肉野菜いため定食が旨いのなんのって、米どころの庄内だからでしょうか。何気なく頼んだのですがこれにはビックリ。一幸食堂さん、ごちそうさまでした。まだたっぷりと時間がありますので駅前をブラブラ・・・近くで見つけた円窓があるお宅です。



それでもまだまだ時間がたっぷり・・・駅の待合室でぼーっと待ちぼうけ。まあ、たまにはこういうのもいいものです。



ようやくやってきた列車に乗り込み15分ほどで鶴岡に到着。駅前に巨大な倉庫があります。JA全農山形鶴岡倉庫、コレどこかで見たことありませんか???そう、お隣の酒田にある観光名所としても有名な山居倉庫にソックリですよね。あ、酒田もこの後に再訪しますよ。



駅前通りを真っ直ぐ1キロほど、山王日枝神社がある交差点を右折すると山王町。この辺りからが嘗ての中心街になるようです。神社の向かいにあるのが明治6年(1873)創業の寛明堂写真館さん、現在のお店は昭和4年(1929)に建てられました。



スクラッチタイルに軒先の星形装飾、目を引くのが八角形の窓、格子もオシャレです。それにしても昔の写真館って皆ステキですよね。花形職業だったんだろうなあ・・・。



地元では山王通りと呼ばれています。いい感じに鄙びた商店街です。



ベーカリーの木村屋さん。画像を開いてから気付いたのですが、建物の背後から立ち上がるダイヤ型の突起物はなんでしょう???



そして昭和6年(1931)に建てられた洋品店のギンヨー827さん。ヨーロピアンにもアメリカンにも見える・・・強いて言えば洋風看板建築でしょうか、摩訶不思議なデザインです。



アチャー、やっちまったなあ(笑)



向かいにはサビサビトタン三階建て、これはいいなあ。



サビサビトタンから見る『こうでねいと』。すぐ脇を流れるのが内川、嘗てこの辺りに船着き場があったそうです。そこから舟で日本海沿いを酒田に向かったのがかの松尾芭蕉、鶴岡では『めづらしや山をいで羽の初茄子』という句を残しています。



内川を渡るとアーケードが架かった商店街、本町に入りました。



とあるビルの車路、小さな水族館になっておりました。



薬局に掲げられていたレリーフ。ああ、恵比寿さんねと納得・・・しかし妙な違和感・・・見直してみると・・・ぶ、豚さん!?何だコレ???



脇道に入ると光景が一変、廃れた飲み屋街が現れました。



コレ、間違いなくモデルは岩下志麻姐さんでんがな。ある夜眠れずテレビをつけたらやっていたのが『極妻シリーズ』一挙放送。一本目はよく出来てると思うのですが、以降なんであんなに駄作が増産されたのでしょう。まあ、姐さんの艶やかな和服姿をウットリと愛でるだけのものと割り切って鑑賞するものですな、あれは。



その先に冒頭画像の謎物件があります。倉庫か体育館みたいに見えますが、元々は鶴岡銀映という映画館だったそうです。閉館後改修→ソシアルビルという華麗な変身を遂げたわけですが、かなり珍しいケースなんじゃないでしょうか。



嘗てはこの辺りにもぎりの窓口があったのでしょうか。



残念ながら映画館としての名残は全くと言っていいほど残っておりませんでした。



一歩奥へ進むと漆黒の闇・・・ほんと手探りじゃないと進めない・・・。基本ヘタレですので、これ以上は勘弁して・・・。なんか変なもの写っていませんよね???



見た感じですが、現役のお店はほとんど残っていないようです。階段が苔生しちゃってるし・・・すごいなこりゃ。



向かいの山茶花さん、この玄関マット、いつから敷きっぱなしなんだろう・・・グレーチングと一体化(笑)



こう見ると元映画館というのが納得できますよね。しかし、手前にも似たような建物が・・・



あれ!?こっちがそうなの???まあ、そんな些細なことはどうでもいいと思うような光景が振り返るとひろがっておりますよ。



でました『ぬけられます』(笑)飲み屋、下見板張り、サビトタン・・・これは素晴しい。



『ぬけられます』部分を見上げるとコレが・・・。たぶん鏑矢だと思うのですが、同じようなのを北関東や信州の民家で見かけたことがあります。魔除け的なものなのでしょう。



今度は宙に浮く花嫁が現れた!?紋屋さんとのことで納得したのですが、これも凄い光景ですな。夜、光ったりするのでしょうか。



西側を並行している通りにあるのが鶴岡ホテル、詳細は不明ですが明治中期に建てられたものだそうです。



一時期、進駐軍が利用したこともあったそうです。洋風の食堂があるのですが、当時はダンスホールだったとか。看板の『JAPANESE STYLE』はその名残かもしれませんね。もちろん現役、此処泊りたかったなあ。

前半はここまで、鶴岡ホテル前の通りを行きますと遊廓があった七日町なのですが、それにつきましては次回のお楽しみということで。これがまた数奇な運命を辿った遊廓なのですよ。

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