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Channel: 『ぬけられます』 あちこち廓(くるわ)探索日誌
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福島県 東白川郡塙町201404

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所謂眠そうな町・逸品の看板建築床屋さん・華道と茶道そして校倉造り!?

この跳ね出し具合が堪らんわけです。


 再びJR水郡線に揺られることちょうど30分、磐城塙駅に到着です。そうだ、前回の問題の解答を発表しておきますね。『塙』は『はなわ』と読みます。私?もちろん読めなかった・・・お恥ずかしい・・・。読めなかったということは、この町の存在を知らなかったということにもなるわけです。周囲に幾つか山城がありまして、戦国時代は動乱の地だったようです。その後は佐竹氏の領地となりますが、享保年間に天領となり代官所が置かれることになります。簡単ではありますが以上が町史になります。まあ、前回の大子町同様いまひとつ正体が掴みにくい町なんですよね。

 大子町以上に情報が少ない町ですので頼りになるのは地図だけ。しかし、これが大問題・・・グーグルマップを開いてみてください。幾ら拡大しても建物の形が表示されない地域が結構あることに気付くと思います。山奥や海沿いといった僻地に多いのですが、塙町もこれに当て嵌まるわけです。コレ、困るんですよね。どんな町なのか全く分からないんだもの。間口が狭くて奥行きのある建物が密集している・・・これは古くからの町並みか!?飲み屋さん密集、大きな旅館や料亭もあるぞ・・・これは何かの跡なのではないか!?といった感じである程度目的地を限定できるのですが、今回はそれが出来ないわけ。グーグルさん、何とかして貰えないでしょうか。重要施設の図面を流出させている場合じゃないでしょ・・・と文句を垂れつつも最後はストリートビュー(SV)の甘い囁きに屈してしまう私(笑)まあ、SVもカバーしているのは町のほんの一部なんですけどね。そこである建物を発見するのですが、アングルが悪すぎる・・・。まあ、SVの愚痴を言っても始まらないので、実物を見にノコノコやって来たというわけです。



駅を出るとこんな感じ。この通りと並行している国道118号線沿いが町の中心みたいです。名誉のために申し上げておきますが、シャッター通りではありませんよ。営業しているお店のほうが多いです。ただし、人影は皆無、ひっそりと静まり返っております。まるで大好きな写真家武田花の『眠そうな町』みたい・・・。



最初に出会ったのが溝井商事さん、どうやら麺類を製造している会社みたい。寄棟屋根に下見板張り、SVにはいい感じに末枯れた姿で写っていましたが、最近になって外壁を塗り替えたようです。



お隣は東白商事さん、江戸の頃は呉服屋や両替商を営んでいた老舗なんだそうです。こちらも下見板張りに上げ下げ窓の洋館風、破風廻りの装飾が面白いです。



脇に回り込むとビックリ・・・風見鶏の乗った望楼風の物体は何でしょう。溝井商事さんと合わせて明治末期に建てられたものだとか。



出羽神社と記された扁額が掲げられた鳥居を潜っていきますと・・・



せせらぎが流れる水郡線の踏切に出ちゃいました。この先に羽黒山城という城址があるそうなのですが、完全な山道・・・退き返すしかないようです。



通りに戻って、今度は立派な旅館が現れた。味の宿こと白洋旅館さん、どうやらうなぎが名物みたいです。うなぎよりも私は向かいの『貝化石もなか』が激しく気になる・・・。



半切妻屋根の端正なデザインのお宅、こういうのかなり好みですよ。以前はお医者さんだったのではないでしょうか。



双子のような看板建築、右はちょっと傾いちゃっておりますが(笑)服飾学校と並んで地方都市でよく見かけるのがテーラーです。



その先に目的の物件が見えてきました。黄色のがそれになります。



勝床さん、トリコロールのクルクルで分かると思いますが床屋さんです。如何でしょうこの跳ね出し具合、見事なものでしょう?



気に入ったのでもう一枚。コレが目的で途中下車したのです。無くなっていたらどうしようかと・・・最近そういうことが多発しておりまして、とにかく良かった。



跳ね出した部分、中はどうなっているんだろう。なにはともあれ、久々の逸品でございました。



そのまま脇道を辿っていきますと、窓という窓全部がベニヤで密閉された謎の洋館が現れます。窓がない下見板張りの外壁が鎧戸に見えてしまうのが不思議。



隣の平屋のお宅と繋がっているのですが、何だったのでしょうね。この密閉ぶりにちょっと恐怖を覚えました。奥の赤い屋根が勝床さんです。



通りに戻って更に南へ・・・手前の土蔵、両脇の柱型に黒のモザイクタイルが使われていました。



久慈川の支流、川上川を渡った先にも町並みは続いていました。ご丁寧にもパーマ(笑)



しかし、振り返ってみると、コチラも上げ下げ窓が規則正しく並ぶ洋館風。パーマと物干し台は後から増築したみたいです。



その先に格子、板塀、赤い屋根のなかなか雰囲気のあるお宅があります。



華道小原流の家元でした。



戻って川上川沿いの脇道へ・・・校倉造りの謎のお宅を発見。もしかして!?と思って近寄ってみますと・・・



なんと、今度は表千家の教授ですって(笑)



適当にフラフラしていたら勝床さんのある脇道に出てしまいました。コチラのお宅、以前は飲み屋さんでもやっていたのでしょうか。



食事処を探している最中に見つけました。福助ってミシンも作っていたのですか???迷った揚句暖簾を潜ったみよし食堂さん、キャベツの代わりが白菜というタンメン、おいしゅうございました。



矢印の方向に和さんはありませんでした。どんな町にもこういった一画、必要だと思うわけです。磐城塙駅はちょっと面白い造り、町の図書館も併設されていますので次の列車を待つ間、遊里関係を調べてみましたが見事に空振り・・・というか町の史料が少なすぎる、もうちょっと充実できないものでしょうかね。

あ、そうそう、前書きでグーグルマップに文句言いましたが訂正させてください。グーグルマップの元データはゼンリンさんの住宅地図なんですよね。私も探索の際は同社のいつもNAVI PC版を出力して持参しています。地図上に記入しやすいものですから、仕事でも重宝してます。スマホの地図なんて建物の形が判明できるまで拡大すると、ほんと狭い範囲になってしまうわけ。アナログだと言われようが、やっぱり扱いやすい紙ベースの地図がいちばん、折り畳んでポケットに突っ込めますしね。とにかくゼンリンさんがデータのUPをしないかぎり、グーグルマップにも反映されないということみたいです。早くして欲しいなあ、こっちは年会費払っているんだぞ。結局愚痴になってしまいましたが、以上、地図に頼らなくても楽しめた塙町の探索でした。次回はいちばん楽しみにしていた石川町、期待してもらってもいいかも・・・お楽しみに。

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