前回の塙町に続いてまたもや素晴らしい跳ね出し具合、首が痛くなるまで見上げておりました。
民俗資料館での聞き取り結果をまとめてみました。まず遊里が存在したのかですが、町史などにそういったことは一切記載されていないとのこと。これが意図的なものなのかは不明ですが、文献には残っていないようです。町史を拝見しようと思ったのですが、先客が熱心に読みふけっていましたので自分では調べられませんでした。しかし、係の方曰く、どんな町にでもそういった場所ってあったはずですよねという意外なお言葉。なんと、私と全く同じ考えではありませんか。
彼は慎重に言葉を選びながら教えてくれました。南町の県道40号線と今出川に挟まれた一画、その1で紹介した割烹高田屋さんの裏手辺りですね。嘗ての町名は旭町だったそうですが、此処が『裏町』と呼ばれていたと言うのです。そう、私が最初地図を眺めたときに怪しいと睨んだ一画と完全に一致していたというわけです。また、この一画の外れにあるのが猫屋敷と化していた緑屋旅館さん、コチラは最初から純粋な旅館だったそうですが以前は芸者さんが出入りしていたそうです。でも、此処が赤線だったのかは分からないとのこと。石川町名産の鉱物のことなら幾らでも答えられるんですけどねえって恐縮されちゃった・・・いえいえ、それだけ聞ければ十分ですよ。あとは現地調査で確認させていただきます。お任せを・・・。
『裏町』を訪れる前に県道14号線(御斉所街道)沿いをちょっと探索。しんまち調剤薬局さんはシンメトリーな看板建築、てっぺんのヘキサゴンの部分には何が嵌っていたのでしょう。
通り沿いはいい意味で眠そう・・・手前のお店、てっきり元は映画館かと。どうやら違ったみたい。
スタジオみずのさんに展示されていた大形カメラ、コレ何判???銀塩関係は疎くて分かりません。
コレいいなあ。大谷石造の看板建築ですぞ。てっぺんには雲形、窓の両側にはオーダーの一種でしょうか。赤い雨戸もオシャレだなあ。テナント募集中とのこと、状態は良好だと思います。どなたか如何???
通りと並行して流れる今出川沿いを戻ります。まず現れるのが何となく料亭風の謎のお宅。グルリと回り込む高欄風の窓台、ポーチの柱にはモザイクタイルが使われています。
お隣には美しい窓が連続する物件。航空写真を見ますと、その1で紹介した割烹高田屋さんの真裏、どうやら繋がっているみたい。別館って感じでしょうか。
玄関脇には円形の造作、分かりにくくて申し訳ない。
なんと、その先に大門が現れた!?『元気のでるまち 飲みさきらっし!』
しかもこの大門、思案橋まで附属しているではありませんか。この橋を渡った先が嘗ての『裏町』ということになります。大門に思案橋・・・遊里の条件が揃っているということになるわけ・・・と無理矢理盛り上げてみましたが、これで何も発見できなかったら物凄く恥ずかしいな・・・。
河畔の光景・・・草臥れたお宅が続いておりました。流れが濁っているのは前日の雨のせいだと思います。
そのうちの一軒、『思案橋』の袂に佇む昭和軒さん。歴史がある中華屋さんでよく見ますよね、肉丼って。いつも気になるのですが、一度もオーダーしたことがない・・・どんな料理なのでしょう。
どん詰まりの脇道の奥にあったお宅、これ以上接近できないのがもどかしい。
何となく雰囲気は感じられるのですがね・・・。
飲食店街とはいえ、お店はポツリポツリ・・・現役もほんの僅かといった感じです。
コンクリート平板の飛び石の先に鳥居が見えました。地図には旭稲荷神社とあります。何か痕跡が発見できるかも・・・。
ほ、本当にあった!!読めますか?『昭和三年旧八月朔日建立 石川料理屋組合一同』と刻まれています。とりあえずホッと一息、何も見つからなかったらほんとどうしようと思っていましたから。更に発見があるよう入念に参拝したのですが、なんと効き目がすぐに発動しちゃうんですよねえ・・・。
まず状況を説明させてください。私は画面の左手から歩いてきます。最初に視界に飛び込んできたのは右の居酒屋さんの水車、こういうのあるあるって喜んでいたのです。次に左の物件に気付くわけ。引っ込んだ位置にあったので正面に来るまで分からなかったのです。その瞬間、絵に描いたような二度見・・・そして第一声『で・・・出たあああ』ってお化けかっ(笑)
いやー、ありましたねえ。驚いたのが深い軒の出、二階部分が跳ね出しているためアンバランスに思えるほどです。コレ、明らかに赤線時代以前からのものですよね。公許のものかどうかは不明ですが、やはり遊廓由来の遊里だったのかもしれません。
出桁造り、まだまだしっかりしています。玄関の欄間には美しい組子が入っていたのですが、酷いブレブレ写真・・・唯一の心残りです。
奥には斜めになった格子と窓、中はどうなっているんだろう。
近くにあったお店?妙に惹きつけられたのですが、直されすぎていて以前の姿が分かりません。
あ、此処に出るんだ・・・土蔵は緑屋旅館さんのものなのですが、まだニャンコがいる・・・しかも数増えているし(笑)
実はこっち側にも大門があるんですよねえ。
しかも隣は緑屋旅館さん、実はその1の時点で大門の存在判明しておりました。別に隠していたわけではなく、レポの流れで自然にそうなってしまった・・・と言い訳しておきます。あ、大門の電飾が瞬き始めた、そろそろお暇の時間のようです。
今出川に架かっていた木橋。古いものではないようですが、何か由来があるのでしょうか。
情報が皆無・・・唯一の手がかりである地図上で場所を予想・・・地元の方の証言・・・そして場所が一致・・・遂に遺構?を発見。久々に理想的な流れ、そして充実した探索になりました。
郡山に向かう車窓、凄絶な夕焼けが始まりました。ファインダーを覗いていると突然闖入してきた福島県警・・・これはこれで面白いので載せちゃいます。
以上で石川町の探索はオシマイ。情報の少ない町を地図と勘だけに頼って彷徨うのは楽しいと改めて知ることになりました。まあ、町の選択を誤ると悲惨ですけどね(笑)今日はこのまま郡山に一泊します。一泊するのはいいのですが、実は明日がノープランなんですよね。何処に行こうかな・・・。